1 神話期・創世 心のきらめきが輝いて星となり、
漆黒の闇を飾った。
その思考の波が集まって、
闇をおしのけ、光が射した。
それは一つの太陽となった。
マナの女神はその光にて、
自身の姿を悟られた。
女神はその身体にふさわしい大地、
ファ・ディールを作られた。
まだファ・ディールには
何もなかった。




2 神話期・六色の月神 マナの女神は太陽から、
六色の小さな光を取り出された。
それは六つの月となった。
六つの月には、それぞれ
小さき神が宿っておられた。
小さき神が目覚めると、
静かなる音が流れ出た。
音は美しき調べとなった。
その調べとともに、
月は美しく輝き始めた。
小さき神々はファ・ディールを
祝福したもうた。




3 神話期・名前の石 小さき神々は六色の月神。
六色の月神はマナの女神に、
それぞれにふさわしい名前を求めた。
マナの女神は、それぞれに
輝く石を、与えたもうた。
石は歌い、更なる調べを空に満たし、
六色の月神は、名前を知った。
音は響き、空を駆けた。
星よ、我に続け、
月よ、我と歩め。
六色の月神の、名前を言祝げ。




4 神話期・月の名前 博愛の水の月神はトゥリーネ
激情の火の月神はゼアー
偏愛の金の月神はバーレン
希望の木の月神はリブレート
繁栄の土の月神はモルフェス
自由の風の月神はガゼル

六色の月神は喜ばれた。
マナの女神は再び深き瞑想に入られ、
神界に高きマナの木となった。
そしてファ・ディールは、
六色の月神の手に委ねられた。


5 神話期・天地創造 六色の月神は海と陸を創りたもうた。
木と草と花を創りたもうた。
それらに光を与えられ、
自ら変わり行く宿命を定めた。

草木は大地に満ち、内なる光は
精霊となりて空を駆けた。
精霊は豊かなる光を放ち、
六色の月神の心を満たした。

そしてようやく、
六色の月神は休みを取られた。
6 神話期・フラミー その静かなる心に、
美しく力強い獣が浮かび上がった。
六色の月神が目覚められると、
それは姿を現わした。

強靱な肉体と美しさを持つその獣、
月神はそれをフラミーと名付けた。
月神が目を閉じ、瞑想なさると、
それは次々に現れた。
それぞれの思念から生まれた
6色の「フラミー」は地に満ちた。


7 神話期・暗雲 六色の月神は技の美しさを競われた。
マナの女神の御意志に従い、
様々な生き物を創る中で、
時には不和をも、もたらした。

ファ・ディールの空を暗雲が覆った。
六色の月神はより強き神獣を求め、
ファ・ディールに神獣がひしめいた。

神獣フラミーは、互いの力を競い、
はてしない創造と、
はてしない破壊が繰り返された。
8 神話期・異界の穴 草木は枯れ、精霊は光を失い、
大地はやせて、
いつからか、戦がそこにあった。

戦が長引くと、
六色の月神の力は失われて行った。
ファ・ディールの大地は傷つき、
異界へ通じる穴さえできた。

六色の月神は異界を覗き、
怖れ、羨望、欲を知った。
そして、最後に、己の愚を悟った。
9 神話期・再生 マナの木には裂け目ができて、
異界からは混沌の波動が聞こえ、
波動はファ・ディールを
包み込もうとしていた。

月神はそれぞれ、1匹ずつの
フラミーを選んで、石を託した。

フラミーは大空を駆け巡った。
それは大地から、生まれ、
大空を駆けて、また大地へと還る、
天翔けるマナの大河となった。
10 神話期・思念 マナの力がファ・ディールを満たした。
大地は、自ら癒し、異界を封じた。

フラミーは月神のもとへ帰ったが、
そこには神々の姿はなかった。
月神は、名前を刻んだ石とともに
記憶をなくし、獣の姿となっていた。

残された6匹のフラミーは
怒り、嘆き、哀しみの涙を流した。
大気に満ちた波動はゆらぎ、
様々な思念の原形を作った。
11 神話期・神託 フラミーは、獣となった月神を
背に負いて、大空へ舞い上がり、
月神は天駆ける星となった。

フラミーは空を舞い続け、
二度と地に降りることはなかった。

フラミーと月神が姿を消した世界に、
今までになかった思念が残った。
精霊達は怖れ、マナの木に祈った。
マナの木は、優しい波動で語りかけた。
12 神話期・予言 やがてこの姿無き者たちにも、
生きるための姿が与えられるでしょう。
それは、この星を創る定めを持つ
ものたちです。
そのものたちが心に描く思念が、
この星の姿となります。
彼らは怒りや悲しみを持って、
この世界に生まれます。
時にその思念が、この星を
傷つけることもあるでしょう。
あなたたちは、そんな時も彼らを支え、
ともにこの星を築いて下さい。




13 妖精と人間 やがて数々の生命あるものが生まれた。
人や妖精の姿も見うけられた。
人は物を創り、物の中に眠るマナの力を
呼び覚し、妖精は歌や踊りを通して、
生き物の持つマナの力を高めた。

はるか天空の彼方から、
6色の月の光が静かに大地を照らす。
その光を背に浴びて、
静かに大地を見下ろす6匹のフラミー。
生命あるもので大地は栄えた。
新たなファ・ディールの時が開いた。


14 影なる者 伝説にあるフラミーは天空遥か高くから
舞い降りることはなかった。
だが地上には、フラミーをひながたとし
たいくつかの動物が生まれた。
中でも知恵のドラゴンはフラミーの神性
を反映し、思慮深い種族になった。
彼らは、他の数多の生命から、ファ・
ディールを守ることを自らの使命とし
た。




15 墜ちたる者 ワームは異界に落ちたフラミーの影と言
われる。熟達した魔導士達は、それを実
世界に召喚することが出来た。
ワームはフラミーの強大な力を受け継ぐ
が、神獣としての性格はほとんど持って
いなかった。
本来のフラミーは、ワームともドラゴン
とも違う、神々しい姿をしていると言わ
れているが、見たものはいない。




16 人間のいとなみ 人間は生殖によって増える定めを持ち、
物を形作る技術を発達させた。
やがてありとあらゆる形ある物を自在に
操るようになった。
この世界に住む人間は、様々な形態を持
つが、みな同じように人間と呼ばれてい
る。それらの形態は親から受け継ぐこと
もあれば、生まれた後で後天的に得るこ
ともある。




17 妖精のいとなみ 妖精は透き通った羽根を持ち、透き羽の
民(すきばのたみ)とも呼ばれている。
それは飛ぶためのものではなく、成長す
ると自然に抜け落ちる。
また、人間界に現れるのは若い妖精だけ
で、成長するとともに物質性がうすれ、
一般的な人間の目からは完全に姿を消し
てしまう。




18 マナの木 人間界と妖精界、二つを結んでいたの
が、マナの木だった。
植物は、人間と妖精の二つの次元を貫い
て存在し、ファ・ディールの持つマナの
力を汲み上げ、大気を作っていた。
人間は、木から燃料や道具を作り、豊か
な文明を築き、物に込められた力を自在
に操り、妖精は植物の放つマナの力を利
用して、ファ・ディールを更に豊かな世
界へと導いた。




19 魔法使い 人間も妖精ほどではないが、マナの力を
取りだすことができた。
マナの力を取りだす力は、本来全ての人
に等しく与えられていたが、物を加工し
それを利用して生活する環境の中で、多
くの人はその力を失って行った。

後の時代、マナを取りだす技を持つ者は
魔法使いと呼ばれるようになった。


20 大魔女アニス 歴史に初めて名前を残したのが、大魔女
のアニスだった。
彼女は、マナの木に穴を穿ち、そこを工
房にした。
マナの木が大気に拡散させるマナの力の
流れはそこで遮られ、それは妖精界から
精霊界にまで影響を及ぼした。
アニスは工房で巨大なエネルギーを持つ
『火石』と呼ばれる宝石を作り出した。
それは、手にする者に邪心を引き起こし
た。




21 知られざる石 神話時代、マナの女神が六色の月神に渡
した石は最大の魔法のパワーソースとさ
れた。
しかし、その後生まれた種族の中には、
同様の「知られざる石」を持ち、強力な
魔法を使う者たちがいた。
アニスはそれを手に入れようと、火石を
作ったが、それはパワーソースとしては
極めて取り扱いが難しく、危険なもの
だった。




22 黄金時代の終わり 火石は様々な工房で作られるようになっ
た。
そして星の波動は乱れ、人間の心にもか
げりを投げかけた。乱れた波動は次元の
断層を生み、邪悪な波動を人間の心に呼
び起こした。
それが、世界が与えた本来の星の姿、高
い霊性によって惑星の命がつむがれる時
代の終わりだった。




23 ユラウクス千年期 それからの時代を統治したのは、乱れた
波動を操る邪悪な者たちだった。
心ある者たちは嘆き悲しんだが、魔導士
達は今までにない力を手にした喜びで、
それこそが自分達の目指した世界である
と確信した。
魔導士達は、これを新しい先年王国の幕
開けとして受け止め、ユラウクス千年期
と呼んだ。


24 マナの木の聖戦 妖精の長アイオンは、マナの木に巣くう
アニスのもとに兵を送った。
ここで、アニスが従えた数百の魔導士と
妖精の率いる数千の兵がぶつかった。
戦いは一夜にして決着を見、妖精のほと
んどが打ち倒されることになった。
そして、生き残った妖精達は人間界で細
々と活動を続けることになった。


25 隠れた者たち 最初は全ての人間を敵にしていた妖精達
だが、人間界にも妖精の思想を理解する
ものがいることを知った。
妖精達は人間の協力者を得ながら、数十
年かけて魔導士達を追い込み、最後には
アニスを打ち負かすことに成功した。
そして、その時の戦火でマナの木は消失
した。


26 火石 焼け跡から大量に見つかると思われた火
石も、3個しか見つからなかった。

アイオンはこの時、奈落に落ちた。
そしてそのまま転生を拒み、奈落の王と
なった。
27 奈落の王 妖精の長アイオンは、奈落で自らの部下
となるシャドール達を作った。
シャドールはアイオンの思念で生まれ、
地上にある死すべき魂を奈落に導く存在
となった。
これより、死した魂は転生する前に必ず
奈落へ行き、奈落の王の裁きを受けるこ
とになった。


28 7つ目の月 アニスを討ったのは「七つ目の月」と呼
ばれる石だった。
火石を自在に操るアニスに対して、更に
強力な魔法で応戦した妖精の戦士は、誰
にも知られていない謎の石を手にしてい
たと伝えられている。


29 つかの間の平和 マナの木の聖戦が終わると、星を巡るマ
ナの流れは回復して来た。
危険な魔法を使って、他人から物を奪わ
なくても、大地は充分な糧を人間に与え
た。
しかし、生き残った魔導士達に、そのよ
うな生活は耐えがたいものだった。
彼らは自然が与えるのを待たなくとも、
自分で全てを手に入れる術をさがした。


30 魔道師の塔 魔導士達は再度火石を手にするべく、
ファ・ディールのパワースポットに塔を
建て始めた。
そして、その妨げとなる妖精を滅ぼすべ
く、彼らは動き始めた。
各地に魔導士の塔が築かれ、それを破壊
しに妖精が現れる。そんな争いが数百年
も繰り返された。
この争いで、多くの人間は妖精を邪悪な
存在だと思うようになった。


31 北の山の学校 後にアニュエラと名乗るようになった、
アニスの娘、エリスは、物に命を与える
力を持っていた。
彼女はアニスの独善的な支配から逃れ、
北の山脈で自分の命令を聞くだけの小さ
な人形をたくさん作っていた。
これらは『魔法生物』と呼ばれるように
なり、彼女を慕う幾人かの魔導士により
その技術は少しづつ広められた。


32 アーティファクト使い 魔法生物は、命を持つものと、力だけを
秘めたものがあり、後者はアーティファ
クトと呼ばれた。
アーティファクト魔法は威力は小さかっ
たが自由度の点では火石に勝っていた。
火石の生成には事故がつきまとい、量産
されなかったので、アーティファクトが
魔法の主流となっていった。


33 竜王・アーゴット 妖精の世界で、竜王と呼ばれたアーゴッ
トが、最後には全ての塔を滅ぼした。
アーゴットは異界への穴を開け、そこか
ら自在に魔物を呼びだした。
しかし最後には彼も邪心に染まり、妖精
界からは追放されたと、記録には残って
いる。


34 ルシェイメア アーゴットは冥界から、フラミーの影で
あるワームを呼びだした。
彼が呼びだしたのは、中でも最も巨大で
あるとされる、光鱗のワーム、ルシェイ
メアだった。
ルシェイメアは魔導士の塔を次々と打ち
壊し、最後に火山を飲み込もうとして死
んだと伝わっている。


35 豆一族 豆一族は、いつの頃からか北の山に住む
ようになった小さな民で、アニュエラが
作った人形がひながたとなっていると言
われている。
その中にあって一人だけ、長身の華奢な
身体を持ったセルヴァは、鳥を駆って、
アニュエラのもとをたびたびおとずれ
た。
セルヴァはアニュエラの人形をよく外に
持ちだしていた。


36 炭焼小屋 とある炭焼き小屋で、一人の女の子が、
父親の帰りを待っていた。
その子の名前はマグノリア、父は炭焼き
と狩りで生計を立てていた。
セルヴァは、一人で待つ少女に、アニュ
エラのもとから一体の人形をプレゼント
した。


37 アニスの火 マグノリアの部屋に持ち込まれた人形の
瞳には赤い石がはめこまれていた。
それはアニスが作った火石だった。
やがてそれは自然に発火し、マグノリア
の住む小屋を炎で包んだ。


38 魔導士と火のルビー 焼け落ちた小屋の中で、マグノリアは息
を引き取ったが、人形は無事だった。
人形は自らをマグノリアと名乗るように
なり、その後しばらく豆一族とともにい
たが、ある日、一人の魔導士に導かれて
どこかへ旅だった。
魔導士には、力をすぐに使いきってしま
うアーティファクトよりも惑星のマナの
力をふんだんに秘めた火石の方がはるか
に魅力的だった。


39 ガイア出現 魔導士の動きを察したアニュエラは、過
去の災いの再現を食い止めるべく、北の
山を下りた。
そして、魔導士の足を止めるべく、街道
近くの荒れ地の岩山に命を吹き込んだ。
命を吹き込まれた山は、自らガイアと名
乗り、その知恵はアニュエラをはるかに
越えていた。
彼女は、ガイアに教えを乞い、魔導士達
との戦いの準備をした。
40 空飛ぶコントラバス アニュエラは、マナの波動に反応しやす
い楽器を多数調達し、それらを操って魔
導士の軍勢と戦った。
魔導士達は、無限のマナを出し続ける精
霊を詰めた楽器の軍勢の前に、次第に勢
力を失って行った。
この時、妖精達はみな、アニュエラに加
勢した。
これ以降アニュエラは『空飛ぶコントラ
バスを操る魔導士』として有名になり、
妖精界では彼女は『指揮者』と呼ばれて
いる。
41 大魔導ハルシェ アニュエラの軍勢を最後まで苦しめたの
が、大魔導ハルシェだった。
ハルシェは「七つ目の月」と呼ばれる石
を持って、強力な魔法で応戦した。
しかし、魔導士の中に、七つ目の月をめ
ぐる争いが生まれ、それを嫌忌した彼は
前線を去った。
42 ゲイマスワルド 魔導士達は火石で陣を作り、雷鱗のワー
ム・ゲイマスワルドを召喚した。
しかし、これは豆一族が洞窟に誘い込ん
で息の根を止めた。
その豆一族を指揮したのは、風の王・
セルヴァだった。
43 東方の暗雲 アニュエラの行動は裏目に出た。
魔導士達に、楽器が魔法の道具として使
用できると言う情報が伝わった。
魔導士は最後に残った火石と、前の戦い
で新たに手にした魔楽器をもって、東方
の国へ逃れた。未だ魔導が伝わってない
辺境の国で、魔導士達は様々な魔楽器を
作り、今までに経験したことの無い大き
な力をその王に提供した。
王の名は、炎帝ロンウェイ。
44 炎帝ロンウェイ 魔導士達はロンウェイに力を授け、妖精
が攻めて来るとの情報を流し、戦争の準
備をさせた。
リクロット4世の統治の時、妖精界への
扉を開くべく、炎帝軍はミンダスを中心
とした古都へと押し寄せた。
この時の戦いは妖精対人間という図式を
越えて、国の利害や、個人の利害が複雑
にからみあった大戦に発展した。
その中には意味の無い殺戮や略奪も数多
くあった。
45 木馬王リクロット4世 リクロット4世はアニュエラによって
支持され、空飛ぶ木馬の軍を与えられ
た。
そして彼は木馬王と呼ばれるようになっ
た。
彼は空飛ぶ木馬を駆るための騎士を、広
く国民から募った。彼のもとには英雄に
憧れる多くの若者が集まった。
46 見えざる修験者 断崖の町ガトはファ・ディール最大のパ
ワースポットで、そこは『見えざる修験
者』によって守られていた。
修道士の多くは肉体をともなった戦いに
臨み、高僧達は波動を高め霊体化して、
異世界から襲ってくる敵を食い止めた。
ガト周辺では様々な次元で、様々な戦い
が繰り広げられていた。
47 ロシオッティ ロシオッティは誰の弓も届かないほどの
彼方から、指揮官の心臓を射抜くことが
でき、炎帝襲来の時には、戦況を動かす
者として去就が注目された。
しかし彼は自ら判断することなく、高い
金を積んだ炎帝の下に付いた。
48 追跡 炎帝の軍と木馬王の軍が激しい戦いを繰
り広げていた中に、風の王セルヴァが
豆一族や草人や花人を率いて参戦、炎帝
は窮地に追い込まれた。
炎帝はロシオッティにセルヴァの命を奪
うよう依頼した。
ロシオッティはセルヴァの追跡をはじめ
た。いままで彼の弓から逃れられたもの
はなかった。
49 セルヴァ セルヴァはロシオッティの超人的な追跡
を受けながらも、鳥を操り、小人達の軍
勢を指揮し続けた。
やがてロシオッティがセルヴァを追い詰
め、その心臓に矢を突き立てた時、ロシ
オッティは無数の豆一族に取り囲まれて
いた。
しかし、ロシオッティを取り囲んだ豆達
は、ロシオッティに意外な申し入れをし
た。
『賢人として共に歩む』ことを求めたの
だった。
50 召喚士ヌヌザック 召喚士ヌヌザックは炎帝側最高位の召喚
士だった。
彼は追い詰められた炎帝に命ぜられて、
火鱗のワーム・フレイモルドを召喚し
た。
その後も炎帝が命を落とすまで、幾度と
なく大小様々の魔物を召喚させられ、最
後には彼自身が魔法陣の向こうの世界に
閉じ込められることになってしまった。
51 剣士オールボン 奈落からは、最初の妖精の指揮者だった
アイオンが指揮する『影の存在達』が参
戦した。
シャドールと呼ばれる影の存在達は、生
者を奈落に導き、そこに閉ざした。
剣士オールボンは、たった一人で奈落へ
と降り、アイオンを討った。
52 フレイモルド ヌヌザックによって召喚された、火鱗の
ワーム・フレイモルドは、ロシオッティ
の生まれた森をも焼いた。
ロシオッティはこれに怒り、アニュエラ
の傘下に加わることになった。
53 真言の騎士 リクロット軍の聖騎士・真言のラスダム
ナック、彼は妖精から『真言』なる呪文
を会得した。
そして彼はフレイモルドを破ったが、そ
の後は妖精の呪いで死んだと伝えられ
る。
54 新しい歴史 リクロット4世は戦争後に教会を整備、
各地から伝承を集め、宇宙の法則につい
て記した『導きの書』を編纂した。
そこには宇宙の構造が説き明かされた。
魔法学校を設立し、アニュエラの母で魔
導の礎となった大魔女アニスの肖像を掲
げ、そこにアニス本人の思念を召喚した
が、アニュエラはこれを快く思わなかっ
た。
55 癒しの寺院 寺院は多くの僧侶と修道士を失い、リク
ロットの支配下に置かれた。
支配を円滑にするために男の修道士は引
き上げられ、魔法学校の方に研究員とし
て派遣された。


56 アーティファクト墓場 リクロットはその後、数年間をかけて、
ロンウェイ軍の残党狩りを行い、妖精を
『悪しき力を操るもの』として迫害し
た。

アニュエラは、アーティファクトの墓場
と呼ばれる場所に引きこもり、人と関る
のを拒み、二度とそこから出ることはな
かった。
57 謎のマナ・ストーン 7つ目の謎のマナ・ストーンは、歴史の
中で数十というオーダーで登場した。
魔法学校の研究者達がまず疑ったのは、
もちろん珠魅だった。
妖精戦争後、多くの珠魅が狩られ、彼ら
の手にかかり調べ尽くされた。
人知れず実験台の上で、核を外されて死
んで行った珠魅が無数にいる。


58 クズ石たち 魔法学校の研究者達の手にかかる時、
珠魅達は意図的に自身のマナの波動を下
げ、核に力を残さずに死んで行った。
珠魅の一族の秘密を守るために、多くの
珠魅達は無言のままで死んで行った。
やがて魔導士達は影で彼らを『クズ石』
とそしるようになった。


59 天使 妖精界には、指導者ズーフベンが現れ、
その教えによって大きな変化の波がおと
ずれた。
霊的な波動が高まり、いよいよ分かたれ
ていた二つの社会が融合する時であると
の認識が広まった。
ズーフベンは人間の凋落ぶりを嘆きつつ
も、それを救うべく更に高い意識に協力
を仰いだ。
それに答えたのが、天の磐船を駆る天使
達だった。


60 黄泉 天使達は女神の下にいる存在で、高い霊
性を持ち、妖精にも人間にも普段は見る
ことができない。
その天使の中の一団が妖精界に具現化し
た。
天使達は7人、意思を持つ船『黄泉』に
乗っていた。


61 転生 実体化した『黄泉』を御するために、天
使達は妖精と人間に転生することにし
た。
転生した天使は一時的に記憶を無くす
が、『黄泉』の波動に応えて、その記憶
を取り戻すようになっていた。


62 ゆがんだ波動 ズーフベンは転生後の天使を探すため
に、『黄泉』を操って、妖精界と人間界
を行き来した。
しかし、妖精狩りを行う人間達との間で
こぜりあいが絶えなかった。
人間達は『黄泉』を怖れ、それに対抗す
るために様々な魔法で攻撃をしかけてき
た。
『黄泉』の乗員は次第に荒んだ波動を持
つようになり、黄泉は悪意に染まって
いった。


63 覇権 天使達は妖精や人間に転生したが、黄泉
の波動が低くなったため、彼らは自らの
本質を思い出すことができなかった。
彼らは新しい生で、狂戦士や、悪しき魔
導士となった。
ある者は黄泉との戦闘の指揮官となり、
あるものは黄泉の覇権を握らんとする魔
導士の一団に生まれた。
黄泉は、より邪悪なものに魅かれ、悪し
き者たちがその覇権を得た。


64 記憶の再生 そんな中でも、前世で天使だった人間や
妖精は、記憶を取り戻した。
ある者は命を落とした仲間に涙をこぼし
た時、ある者は黄泉と対峙した時、ある
者は天使だった仲間と剣を交えた時、あ
る者は賢人の導きを聞いた時‥‥
そうして6人の天使が記憶を取り戻し
た。
しかし、7人目の天使はいつまで経って
も目覚めなかった。


65 夢での呼びかけ 目覚めた6人の天使の夢には、もう一人
の天使の姿が見えていた。
しかし7人目の彼は、天使達のせつない
ほどの呼び掛けにも答えることはなかっ
た。
7人目の天使は、人間でも妖精でもなく
珠魅だった。
人間と妖精は、戦争を続ける中で、珠魅
達の命を魔法のパワーソースとして貪っ
て来たのだった。


66 放棄 天使達は黄泉を取り戻すことをあきらめ
た。
彼らは珠魅を解放するために戦い、賢人
達の知恵を借りて、黄泉に対抗しうる船
を造って、戦に臨んだ。
彼等は人間の魔導士の長と、闇に染まっ
た妖精の指導者ズーフベンを倒し、黄泉
を次元の狭間に閉ざした。
6人の天使は、そのまま人間界と妖精界
に留まった。


67 導きの書 リクロットが始めた『平和のための統
治』は、帝国の歴史とともに、『統治の
ための平和』に変遷して行った。
導きの書を用い、思想による諸民族の教
化の名のもとに、大規模な異端狩りが行
われた。


68 不死皇帝 エナンシャルク帝国の15代目皇帝、イ
ルゾワール・エナンシャルクは不死皇帝
と呼ばれる。
七賢人とともに妖精戦争を戦い、木馬王
と謳われたリクロット・エナンシャルク
の血を引くが、内戦のきっかけとなる圧
政で帝国崩壊の引き金を引いた。


69 ライオット家 リクロット4世が作った騎士制度は、短
期間に多くの英雄を輩出した。
中でも戦果の高かったフリオ・ライオッ
トを帝国を守護する聖騎士と認定、以後
その権威は世襲されるようになった。


70 ハロ家 リクロット4世は、戦死した英雄の魂を
祀るために、マナの女神の神殿を作る一
方、古くからある寺院を整理し、ガト以
外の寺院のほとんどを閉鎖した。
権威のあるガトだけは残したが、男子の
修道僧を認めず、その実権を奪った。
ハロ家は代々その司祭を世襲したが、常
に帝国の管理下に置かれ、次第に影響力
を失って行った。


71 風読み士の村 風と語り、風を自在に操ることができる
一族。
彼らはノルン山脈の麓に集落を作り、無
用の者が勝手に山中に入らないように監
視している。
72 帝国の没落 イルゾワールは不死の生命を求めた。
ドラゴンが守る竜石にそれを求め、各地
のドラゴンに対して兵を送ったが、こと
ごとく失敗。
やがて彼自身もドラゴンにやられるが、
その執念を見込まれて、骨ドラゴンの
ジャジャラのドラグーンに取り立てられ
た。